LSIM 安全科学研究所では、ヒトiPS心筋を用いた開発候補化合物の安全性評価に関して、お客様の様々なニーズにお応えするように、各種サービス(試験受託、オープンラボなど)をご用意しています。
LSIM 安全科学研究所では、ヒトiPS心筋を用いて以下の試験内容を受託しております。
1.1再分極遅延に起因する致死性不整脈誘発リスク評価
医薬品ガイドラインS7Bにも記載され、候補化合物の開発中止の原因となり得る再分極遅延に起因する致死性不整脈(Torsades de pointes (TdP))リスクを、ヒトiPS心筋細胞を用いて細胞外電位計測により評価します。現在、FDAが主導している国際バリデーション試験(CiPA initiative)が進んでおり(http://cipaproject.org/)、その一部として研究されているヒトiPS心筋を用いた国際バリデーション試験に、国内受託試験機関から唯一実験データを提供しました。
LSIM 安全科学研究所では、将来的に薬事申請にも対応することも想定し、温度、CO2濃度および湿度調整を厳密に調整した環境下にて試験サービスを提供しています。また、薬事申請前に開発候補化合物を絞り込む段階にも対応できるように、24標本を同時測定する実験系を構築しました。その際、大量の測定データが発生するために人工知能(深層学習)を導入し、品質とコストパフォーマンスを両立させた試験サービスを目指しています。
1.2ヒトiPS心筋や計測機器の性能評価
LSIM 安全科学研究所は、他社に先駆けて2009年から国家プロジェクト(NEDO)に参加して以来、ヒトiPS心筋を用いた不整脈予測評価系技術開発をリードしてきました。近年は、ヒトiPS細胞等の新規創薬技術の開発・普及を目指した寄付講座(澤田光平教授(元エーザイ))を他寄付企業4社と共に開講しました。このような取り組みから、産業界から求められるヒトiPS心筋や計測機器のニーズを的確に把握し、製品開発に必要な試験サービスを提供します。
1.3その他(各種心毒性評価)
ヒトiPS心筋を用いた評価技術について、豊富な経験・知識を有する人材を育成しています。お客様のニーズに柔軟に対応する体制を整えておりますので、既述した試験法だけでなく、それ以外の試験につきましても前広にご相談を承っております。
これまでに培ったヒトiPS細胞用いた評価技術の開発・実践に関する知識や経験を活かした以下のサービスを提供いたします。当社では、ヒトiPS心筋細胞を用いた細胞外電位測定実験について、実験計画立案、実験プロトコール、実験操作、データ解析やデータ解釈まで、お客様のニーズにフレキシブルに対応致します。
2.1ヒトiPS心筋細胞を用いた培養および細胞外電位計測に関する弊社見学
2.2経験豊富な弊社技術者による実験サポート
2.3弊社技術者の出張サービス
2.4実験計画立案からデータ解析までのサポート
実験について一部を弊社が実施したりすることやテレビ会議を開催することにより顧客が利用しやすい形を目指していますので,前広にご相談ください。なお、当社が使用している実験インキュベータや解析システムを、お客様の施設内にて利用したい場合はご相談ください。
マルチウェル測定プローブ(左上図)に、ヒトiPS心筋を培養する(左下図).電極(左下図(■))上およびその周辺に位置する細胞から発生する心電図様の細胞外電位波形(右図)を解析し、催不整脈作用を検出する(右下図(⇑))。
ヒトiPS心筋を用いたTdPリスク評価を行った先行論文(Ando H, Yoshinaga T, et al. JPTM 2017)に基づいて弊社データを展開した図。正答率は84%(先行論文では83%)だった。
弊社が提供する試験サービスは、開発候補化合物を絞り込んでいく探索研究と、薬事申請用試験に対応することができます。細胞外電位測定から得られる有効な指標を用いて、開発候補化合物の致死性不整脈誘発リスクを評価します。一方、不整脈評価に利用できる細胞等の性能評価にも対応可能です。